静岡県インテリアコーディネーター協会(SIC:静岡市葵区、松村裕子会長)は、2023年6月7日(水)~11日(日)に開催された「シズオカ[KAGU]メッセ2023」に、主催の静岡県家具工業組合(静岡市葵区、塩川達也理事長)との特別コラボ企画ブース「Your story 悠久の自然を感じて」を出展した。
特別コラボ企画ブースは、「この空間を見たひとりひとりが、どのように過ごすか想像してほしい」と投げかけて空間をコーディネート。「悠久の自然を感じて」の要素は、富士山や伊豆の海といった、静岡県の豊かな自然の魅力を連想しながら、代々伝えられてきた工芸品などのアイテムを配置し、「静岡」にこだわった空間が演出された。「朝」と「夜」の2つの個性的なブースのコーディネートは、それぞれSICの福田佳奈氏(㈱梅原建設)および北山富喜子氏(㈱エフ・スタイル)が手掛けた。
ブース正面には、テーマおよびSICと、静岡県家具工業組合のロゴ。そして特産品でもある工芸品が置かれた。新設予定の県図書館に静岡家具を展示するというプロジェクトが進んでいることもあり、組合からは「本」を意識した空間となるようオーダーがあったという。
北山富喜子氏(㈱エフ・スタイル、静岡県三島市)による「夜」をイメージしたブース。左右対称のシンメトリーで奥に本棚が並べられ、中央にはデスクおよび照明が配された。ゆったりとした夜のまどろみの気分の中、読書やうたた寝をして過ごすことができる空間としてコーディネートされた。
コーディネートに用いる家具は、静岡県家具工業組合員のものを使用。上写真のテーブルおよびチェアは神谷家具のものを採り入れた。
側面には北山氏によるデザイン案が掲示された。限られた空間の中に、いかに静岡の魅力を込めていくか。コーディネーターの思いが表された。
写真のローチェストは福井木工が手掛けたもの。ホームデスクで仕事をしたり、ソファでくつろいだりといった過ごし方、そしてグラスを置いて優雅で特別な空間を提案。このような空間で「あなたなら」どのように過ごすか、と来場者に問いかけるコーディネートが披露された。
「朝」のテーマを手掛けた福田佳奈氏(㈱梅原建設、静岡県伊東市)のブース。鳥の声がきこえ、朝日が窓から入り、夢と現実との間にいるような気持ちが体感できる空間をイメージしたコーディネートだ。
朝のさわやかな海をイメージしたブースには、流木なども用いられている。これは福田氏自らが採取したという。「このブース、空間にいらっしゃった方々が、それぞれの『自分自身』を投影できるようにコーディネートした」と福田氏。
照明にもこだわった(写真は神谷家具のもの)。「空間の良さを引き立てるためには、光の配置なども含め、照明の使い方も非常に大切になる」と福田氏は語る。伝統工芸品で空間にアクセントをつけたこともポイントの一つだという。
静岡の代表的な伝統工芸として「駿河千筋細工」がある。徳川家康の江戸時代から発展してきた伝統品だ。写真の「SEN」は、照明作家の谷俊幸氏がデザインしたもの。
「どこを切り取っても美しいように」(福田氏)という「朝」のブース。本棚にも多くのアイテムが並ぶ。
塩川光明堂のミラーや起立木工のアネロチェア、エコウッド景観協同組合のユーカリ天然木など、静岡県家具工業組合員の製品が空間を彩った。
SICは、講師を招いての勉強会や、会員同士での活動報告などを行っている。所属会員はフリーおよび企業に所属している会員まで様々だ。SICと静岡県家具工業組合はコロナ禍前の4年前のシズオカ[KAGU]メッセでも一度コラボをしており、昨年はコラボできなかったものの、今回展には今年3月に出展が決定。家具工業組合員各社だけでなく、コーディネーターの力も合わせながら、静岡のインテリア業界の活性化に取り組んだ。SICの松村裕子会長は「今後も積極的に講演会などの活動に取り組み、一般ユーザーへのインテリアコーディーネーターの認知をより広げていきたい」とし、協会としてもインテリアコーディネーターの会員数拡充につなげていきたいとの抱負を語った。
(佐藤)