7月5日(水)から6日(木)にかけて、協同組合福岡・大川家具工業会(福岡県大川市、河口健理事長)主催の家具展「大川夏の彩展2023」が、大川産業会館、大川家具団地Uゾーン、インテリアポート・エルバーレを中心に開催された。開催前のセレモニーでは、大川市の倉重良一市長らが出席した。
河口理事長は「今回の大川夏の彩展は、この大川産業会館への出展社が116社。Uゾーンとエルバーレを合わせて全体で158社の出展社に恵まれ、組合として大変感謝している。インテリア産業は、今やや厳しい情勢で逆風が吹いているが、この158社のやる気、勇気、元気のあるメーカー、ベンダーさまが、3つの会場に出展してくださる」と、関係者に感謝の意を述べた。昨年の7月展比で、出展社は11社増。積極的な誘致が出展社増につながった。主催者発表によると、開催2日間で1296社/1488人が来場した。
倉重良一大川市長は開会式の挨拶で「これまでふるさと納税や自治体の需要喚起に向けて私どもも呼びかけてきた。ふるさと納税はこれからもまだまだ伸びるので、その需要は引き続きしっかりと確保していきたい」とし、4月から新しくスタートした「リビルディング事業」において、新しい分野へ行動領域を拡張へしたいとの考えを示した。インバウンドやインターネット、インターネットのインバウンド、そしてアウトバウンドなど、これまで踏み込んで来なかった領域まで踏み込んだうえで、福岡・大川家具工業会員各社が手掛けた家具の認知を海外にもより広げ、高値で取引が行えるように努めていくようだ。
福岡・大川家具工業会は、今期の展示会スローガンを「FULL」をテーマとして開催。大川が発揮できる力を最大限に発揮し、展示会の来場者やエンドユーザーに最大限の満足を提供することを目標として設定した。展示会のサブテーマ「ここからが、サイコウだ。」は、「満足度の最高、コロナ禍から脱却し、再興すること」をかけた言葉として設定。開催初日はあいにくの空模様となったが、多くの来場者が訪れて賑わった。
特別企画展示の国産材を使った家具「SENDAN」と「ふるさと家具」は、産業会館内に大々的に製作品を展示。福岡・大川家具工業会の地域材開発部会、森田英友部会長(手作り家具工房日本の匠代表取締役)を中心に積極的なPRを行い、多くの来場者が関心を寄せ、ブースを訪れる姿が目立った。
国産材・地域材を使用しての家具は、ホームユース向けの製品作りには適さない場合が多いが、森田氏は「2017年に我々組合がこのセンダンの木と出会い、これからの新しいマーケットのためのフックになるかもしれないということで、植樹を始めた」と話す。植樹は福岡県内に限らず、宮崎県や長崎県、鳥取県などの本州にも及び、さまざまな森林組合など14団体の協力を得ながら植樹を手掛けているという。
国内には、成木して伐採の時期を迎えている杉やヒノキなどが多く、一部のメーカーではプロダクトとして活用している企業も存在する。しかしまだその数は多いとは言えず、プロダクトも公共案件などでの使用が主流だ。同プロジェクトでは杉やヒノキを伐採後にセンダンを植えており、一般の消費者と共同で手掛けている。各地の森林組合と共同で木を育て、そして組合の各企業がそのセンダンを使うというサイクルを生み出すべく、取り組みが進められている。センダンは成長のスピードが速く、その分CO2の吸収率も高いとされている。
現在、年に約10拠点のペースで植樹を行っているといい、その植樹会場でマルシェを開く取り組みも行っている。マルシェでは小径木を用いたワークショップなどを開催。突板などの実物を体感する機会を設け、関係団体やその家族など、多くの人々に木の良さを知ってもらうための活動、「木育」を楽しむためのきっかけづくりを推進している。森田部会長は「我々福岡・大川家具工業会が、国産材の活用に真摯に向き合っていることを今後もPRしていきたい」と語った。地域材開発に携わる組合員による、”大川ならでは”の「ワークショップカタログ」も製作予定だという。10月の大川木工祭りでも新たな企画を検討するなど、組合としてのセンダン活用およびその認知拡大は、これまで以上に前進をみせている。