カリモク家具 「カリモク60自由が丘店」を10月20日オープン 東京都目黒区の「JIYUGAOKA de aone」2階、スキーマ建築計画が店舗をデザイン

 カリモク家具(愛知県東浦町、加藤正俊社長)は2023年10月20日(金)、同社が展開する「カリモク60(カリモクロクマル)」ブランドの新店舗となる「カリモク60自由が丘店」を、JIYUGAOKA de aone(自由が丘 デュ アオーネ)」(東京都目黒区自由が丘二丁目15-4)の2階にオープンする。

 新店舗のカリモク60自由が丘店の運営は、カリモク家具の子会社であるケイ・ワークス(愛知県刈谷市、加藤正俊代表)が手掛ける。カリモクグループ直営のオフィシャルショップとしては、東京都下では豊洲店、新宿店に次いで3店舗目で、全国では6店舗目の出店。店舗面積は約80坪で、東急東横線、大井町線の自由が丘駅から徒歩約2分の立地だ。”カリモク60”ブランドの全てのアイテム(約120アイテム)を揃える、同ブランドの旗艦店となる。

ナガオカケンメイ 氏(左)と、長坂常 氏(右)

 オープンに先駆けた10月16日(月)には、カリモク家具主催の特別内覧会を開催。ショップデザインを手掛けたスキーマ建築計画(東京都渋谷区)の長坂常代表と、”カリモク60”のブランドディレクターを務めるD&DEPARTMENT(東京都世田谷区)のナガオカケンメイ代表によるトークセッションが開かれた。

 冒頭、カリモク家具営業推進部カリモク60課ブランドマネージャーの日下部聡氏による両氏の紹介ののち、トークセッションに移った。ナガオカ氏はまず、昨今の若年層の家具に対する認識について触れ「ハンス・J・ウェグナーの名作“Yチェア”のような家具でも、若年層の方々はその存在を知らない人が昨今増えてきています。”カリモク60”の存在も知らない人が増えてきました。したがって、ブランドについて告知をしたり、情報発信をしたりしていかないといけない。クリエイティブクリエイターを務める私としては、”カリモク60”の古くなったイメージを一新したかったため、今回スキーマ建築計画の長坂代表に店舗デザインをお願いしました」と話す。約20年前からプロジェクトに携わっているナガオカ氏だが、20年の間の時代の移り変わりとともに、若者が求めるものや時代の変化を感じ取っており、ブランドイメージの再強化が必要であると、危機感をもっている。

 今回設計を手掛けたスキーマ建築計画は、全国津々浦々の店舗・施設のデザインを手がけている。同社の長坂代表は今回の店舗デザインのポイントとして、可動式の家具展示什器を採り入れたことを挙げる。「シーズンによって売り出すアイテムも変わるでしょうから、変化をつけられた方がいいだろうということで、その点に対応できるよう”動く”お店を作りたいと考え、可動式のスチールラックを採用しました」と長坂氏。

 店舗の什器を動かせるようなデザインは、今回のカリモク60自由が丘店以外にも手がけた例は多くある。「可動性が非常に高いので、そのお店の人の創作能力が問われることにもなります。ともすればアイテムの展示の仕方はマンネリ化してしまいがちですので、可動式にすることによってお店の人たちの意識も変えられると思います」(長坂氏)。季節の変わり目などで内装に変化をつけやすくできるよう、什器を動かしやすい空間設計としたという。

 店舗の中央部には、イベントなど企画展でも使用できるような展示スペースが設けてある。ナガオカ氏によると、生活雑貨を扱うような様々な企業などとの展示や、同氏が代表を務めるD&DEPARTMENTなど、カリモク60に親和性の高いロングライフ性をアピールするアイテムなどのギャラリーとしても使用可能な設計だ。

 ナガオカ氏は「私としては、”カリモク60”を盛り上げるための活動のお手伝いをさせていただくために、定期的にトークショーなどの企画も催せたら良いのではないかと考えています。”カリモク60”のことを知らない若い方もここへ来ていただきながら、ブランド全体を盛り上げていきたいですね。我々のD&DEPARTMENT TOKYO(東京都世田谷区奥沢8-3-2)も近いので、共にブランドを盛り上げられたらと思っています」とした上で、「この自由が丘店は、カリモク60のショップの中でも一番大きいお店になります。ここできちんと、カリモク60のブランドの認知度について、今日いらっしゃっている全国の”カリモク60”の販売店の皆さんを含めて、協力して底上げをしないといけません。そのためには、インパクトのある建築家に手がけてもらわないといけないと思ったのです。先ほども申したように、”Yチェア”ですら知らない方が増えています。”ロングライフデザイン”という言葉自体も伝えていかないといけません。これを3、4年やっていかないと、未来はないと思っています」と、重ねて危機感を表す。

 こののち、長坂氏がこれまでに手掛けたプロジェクトについての解説が行われた。「店舗のデザインについては、一回ぐるっと見ただけでは帰らないような、3回ほどぐるっとまわって”何か見忘れたものはないか?”といった気持ちにさせることが大切かなと思っています。”通ったけど見ていたかな?”といったような設計にして、気が付いたら”何か手に商品をもっていただいている”といったことが理想です。目的意識をもってお店に来ていただくことも大事な要素ではありますが、どちらかというと、”出会いを楽しむ、出会いの発見”を大切にしています」と長坂氏。「我々は”わざと不親切に”お店をつくる、わざと高いところや低いところにアイテムを置けるように作って、お客様にぐるぐるとまわって見ていただく。お店の売上というものにデザインは貢献します。”お店の賑わいはデザインで作れる”ということを、私は過去のプロジェクトで実感しています」と語る。様々な目的でその場所に訪れることができるような店舗づくりを、長坂氏は大切にしている。

 ナガオカ氏は「長坂さんはきちんと様々な方と関係を築きながら、街とのつながりということも意識されて設計をされているので、家具以外の様々なオーナーさんとも、この”カリモク60”の自由が丘店はつながっていけると思います」と語った。

 最後に、”カリモク60”のブランディングに長く携わっているカリモク家具の山田郁二常務取締役が挨拶。一般ユーザーへのタッチポイントをより丁寧に作っていきたいとした上で、「お客様へのアンケートでは、友人や家族などを通じてカリモクの存在を知ったというケースが多いです。顧客のフォローは今後も大切にしていきたいと考えています。いかにしてこのカリモク60ブランドを販売店の皆さんと一緒に育てていくかという気持ちは、立ち上げた2002年から変わっていません。ユーザーさまに認識してもらってこそカリモク60ブランドは成立しますので、販売店の皆さんとも今後も協力し合って、共に進んでいければと考えています」と結んだ。

 ”カリモク60”を発信する新たなフラッグシップ拠点「カリモク60自由が丘店」。ブランディングの再強化のための、今後の企画・情報発信に注目である。

(佐藤敬広)