今年のプロポステでは、スペインのアクアクリーン社が初出展をした。同社製品の「アクアクリーン」は、水で汚れを除去できる家具用張地として、国内でも大きくシェアを拡大している。ブースには従来の製品に加えて、ペットのいる空間向けの張地としてアクアクリーンエクストリームについての展示も行われた。耐久性があり、ペットの爪などによるひっかき傷ができにくい。また、セーフフロントと呼ばれるテクノロジーが盛り込まれ、ウィルスを2時間で91%減少、24時間で細菌の活性を99・99%減少させるという。
アクアクリーン社は巨大なテキスタイル企業で、過去20年にわたりプロポステ会場周辺のエリアで会期に合わせて展示を行ってきた。申請を重ねて、今年になって出展が認められた形だ。出展初日、ブースには70社以上の企業が商談に訪れたという。同社のセールスマネージャーのマリオ・マーティ氏は、同展の高いポテンシャルを改めて実感したとし、来年以降の出展にも意欲をみせた。
昨年日本3割増、今年も3割増見込み
同氏は日本市場の担当でもある。現時点で日本は、韓国に次いで6番目に大きな市場だという。「近年、日本でのシェア拡大は目を見張るものがあります。2023年は約3割の売上増となりました。2024年はさらに3割増を見込んでいます。シアターなど公共施設での採用が進んでおり、今年も日本に渡航する忙しい年となりそうです」と語った。今年が見通し通り3割増となると韓国を抜いて5位になるという。
日本での同社製品の流通は、bp international tokyo(東京都目黒区 林田典子社長)がエージェントとして担う。同社はアクアクリーン社と取引をはじめて、2023年でちょうど10年を迎えた。納品商材は多岐にわたり、商社、メーカー、そしてコントラクト案件の時にはデザイン会社に納品することもある。林田社長によれば、「1つのファブリックメーカーから、これほどの量が流通することはありませんでした。この10年でそれほどまでに(取扱量が)大きくなりました」と語る。それまで同社は、カーテンを中心としたエージェント業を営んでいたが、アクアクリーンとの出会いを契機に、機能性椅子張地を事業の中心に据えるようになったという。
日本市場での急拡大の要因は主に2つある。1つは優れた機能性だ。近年、欧米を中心にフッ素化合物の規制が進み、撥水加工に代わる環境負荷の少ない製品が求められていた。同社の製品はそのニーズに応えた形だが、結果として従来の撥水加工を上回るものが生まれた。従来の撥水加工を施した張地では、汚れが付着してから時間の経過とともに取れにくくなるという欠点もあったが、同社製品は時間の経過に関わらず除去ができる。また、もう1つの大きな要因として価格面もあげられる。林田氏によれば、ヨーロッパからのテキスタイルとしては最安値に近いという。これは、アクアクリーン社がテキスタイルの製造工程をすべて担える垂直統合型の企業であり、生産量が非常に大きく、規模の経済が働くためだ。
国内メーカーも張地の選択肢として、同製品の取り扱いが増えてきた。今後、市場にどのようなインパクトを与えていくのか注目したい。