クリナップ(東京都荒川区、竹内宏社長)は2025年8月27日、同社クリナップキッチンタウン東京(東京都新宿区)で新商品説明会を開催。主力システムキッチン「STEDIA(ステディア)」の意匠性と機能性を拡充し、9月1日から受注を開始すると発表した。


朝日ウッドテックと共同開発した「天然木ワークトップ」と、排水トラップの清掃負担を軽減する新機構「かってにクリントラップ」を核に、テーブルやシェルフ、扉意匠の拡張、硬質アクリル系人工大理石「フォルテックス」の展開まで、多面的に“居心地のよさ”と“日々の使いやすさ”を強化する。
「キレイの集大成」と「世界で一つの木目」

発表会の冒頭、竹内宏社長は「新しいステディアの良さと新たな提供価値を、より多くのお客様へ。社員一丸で拡販に挑む」と力を込めたうえで、今回の二つの柱をこう位置づけた。「当社が長年こだわってきた“キレイ”の価値を、排水トラップまで徹底したのが『かってにクリントラップ』。キッチンにおける“キレイ”の集大成と言える新アイテムとなる」。さらに「天然木ワークトップは、一本一本異なる木目がもたらす“触れたときの質感”まで提案できる。世界にただ一つのシステムキッチンと言っても過言ではない」と語り、感性価値と機能価値の両立を強調した。

来賓として登壇した朝日ウッドテックの海堀直樹社長は、両社の縁に触れつつ「当社の『WOODRIUM』をベースに、キッチンの使用環境へ適応させる“強さ”と“柔軟性”を共同で磨き上げた。ステンレスに強いクリナップが、なお新しい価値に踏み込んだ姿勢に感銘を受けた」と述べた。
天然木ワークトップ:感性と実用の両立

「天然木ワークトップ」は、朝日ウッドテックの「WOODRIUM」をキッチン用に再設計した専用仕様。「一般的な家具の約2倍以上の塗膜厚」と「割れにくい中塗り層」によって水侵入を抑え、凹みを与えた状態で2週間水を張っても“水染みなし”を確認するなど、ワークトップとしての耐水・耐久要件を満たす。カラーバリエーションはオーク/ウォールナット/オークグレーの3種をそろえる。

同社が示した根拠も興味深い。官能評価では、手触りの快適性で木材が他素材を上回り、木目の“1/fゆらぎ”がリラックス効果をもたらすこと、熱伝導率の低さから“冷たくなりにくい”体感が得られることを整理。コロナ禍以降の“居心地”志向の高まりや、天然素材提案の潮流を背景に、「ダイニングを含む広い一体空間で温かみへのニーズが増している」との市場観も共有された。

開発経緯について、クリナップ社開発担当の藤原亨常務執行役員は「2022年の朝日ウッドテックの展示会で“これだ”と直感した。2週間後には協議を始め、木の知見とキッチンの知見をオープンに交流しながら仕様を詰めた」と振り返る。狙いは「システムキッチンの中に“新しいカテゴリ”をつくること。簡単ではないが、あたたかい空間価値を広めたい」と語った。
かってにクリントラップ:排水トラップの“自動お手入れ”

もう一つの柱「かってにクリントラップ」は、ぬめりが生じやすく手入れ負担の大きい排水トラップに着目し、1日3回のタイマー運転で自動的に清掃を促す仕組み。藤原氏は「生活空間の中心にキッチンが近づくからこそ、衛生面の心理的負担を下げたい」と背景を語り、ラインナップの“基本プラン標準”として展開する。


竹内氏も「排水トラップまで“いつもキレイ”を実現したい、という思いで開発した」と述べ、2011年のオールステンレスキャビネット化、2015年の流レールシンク等に連なる“キレイの系譜”の最新到達点と位置づけた。
意匠・周辺拡張:テーブル/シェルフ/扉、フォルテックス


「憧れゾーン」へのデザイン展開として、ワークトップと同仕様の挽き板・塗装を用いた「天然木ライフテーブル」や「天然木シェルフ」、無垢の外枠と削り出し取手で“触れたくなる”造形を目指した「天然木細框扉」を投入。さらに上位機種CENTROで好評の硬質アクリル系人工大理石「フォルテックス」を、STEDIAのワークトップ/シンクへ拡張し、柄入りエルデシリーズを追加する。機能と情緒の両軸で選択肢を広げる構えだ。
ブランド戦略:プロ評価とシェア拡大、現場浸透の具体策
藤原氏は「リフォーム大賞の総合1位(キッチン)という“プロの評価”へ継続的にこだわる」と強調。販売面では2018年のリブランディング以降シェアを伸ばしており、2030年度に“シェアNo.1”を掲げるとした。

市場浸透策も具体的だ。全国101拠点のショールームに天然木ワークトップ展示を順次展開し、一部拠点では朝日ウッドテックのフローリングと組み合わせた提案空間を用意。「かってにクリントラップ」は全国で体験可能にする。広告は9月からYouTube・SNS等で計12本の動画(うち4本は天然木やクリントラップの新作)を投下。6月以降、1万人超のプロユーザー向け研修や内覧会も実施しており、販売店・施工店の理解浸透を加速させる。
“憧れと本音”の設計思想:ポジショニングの再定義

クリナップでは、ユーザーによる検討初期の“憧れ”と後期の“本音(機能・仕様)”を分断せずに伸ばす設計思想を整理。2022年に展開した「デュアルトップ対面」による“憧れ×本音”の両立から一歩進め、今回は天然木で“憧れゾーン”を広げ、クリントラップで“本音ゾーン”の成約率向上を狙うとしている。
(佐藤敬広)

