【取材】展示会レポート:中国・上海の「Furniture China 2025/Maison Shanghai 2025」 多様な製品群に海外バイヤーの注目集まる

家具・インテリアの国際見本市「Furniture China」が30周年の節目を迎え、テーマ「Beyond Next」を掲げて開催された。会期は同時開催展のMaison Shanghaiが2025年9月9日〜12日、メインのFurniture Chinaが9月10日〜13日。

会場はそれぞれ上海のSWEECC(上海世博展覧館)とSNIEC(上海新国際博覧中心)で、両会場合計の展示面積は約35万平方メートル。開催5日間の総来場者数は16万3527人となり、174の国と地域からの参加をみた。このうち海外からの来場者は3万2618人で、前年比13.9%増を記録した。

主催は中国家具協会およびSinoexpo Informa Markets。会期中は両会場間の無料シャトルも運行された。
SNIECはE・W・Nの各ゾーンで構成。

E1〜E4は「コンテンポラリーファニチャー」、E6・E7は「ブランドデザイン」、N2〜N4は「テーブル&チェア」、W1〜W5は「アップホルスタリー」など、大分類で動線が整理された。

2025年は新設・強化領域として「ガーデンファニチャー・ホール」(E8B)と「ハイエンド・コントラクト・ファニチャー・ホール」(E5)が打ち出され、屋外・造園と商業施設・プロジェクト調達の需要を的確に拾う布陣となった。ソフトコンポーネントの「E8A Design Fabric」も併設し、素材・テキスタイル導線が補強されている。


同時開催のMaison Shanghaiは、生活提案・デザイン発信のショーケースとして位置づけられた。

H1は「Interior Styling + Material Aesthetics」としてインテリアスタイリングや素材美、H2は「Trendy Lifestyles + Aesthetic Living」としてデザイナー発信やデジタルアート、ペットフレンドリーなど新ライフスタイルを横断。

H3はデザインブランドの“ハイランド”を掲げた。

H4は「Factory Direct Sales + Conference Forums」として工場直販パビリオンとフォーラムを束ねる構成だ。

運営側によれば、Maison Shanghaiは今年H1〜H4の4ホール体制に拡大(昨年はH1〜H3の3ホール)し、約6万平方メートル規模。H1〜H3は中国オリジナルデザインの色彩が強く、H1ではアクセサリー、新素材、アワード等の展示を展開。H4は輸出と国内の販売比率が概ね50/50のメーカーが多いという。


メイン会場のSNIECは約20万平方メートルとされ、同時開催を含めた全体展示は年々約1割ずつ増加傾向にあるとのこと。出展はおよそ2,500社規模で2割が海外、来場者は中国75%・海外25%で、とくにトルコなど欧州・中東圏のバイヤーが目立った。フォーラム・セミナーは4日間で約100セッションを予定。SNIECはキャパシティが飽和しつつあるため、今後はSWEECC側(Maison Shanghai)の活用を一層拡大し、国内出展の充実とブース増を志向。日本の著名メーカーの参加にも意欲を示していた。

35万平方メートルの巨大スケールの中でも、E5のコントラクト強化とE8Bのアウトドア特化、そしてSWEECCのH4直販パビリオンは、調達目的の来場に対して実務的な「買える導線」を可視化した点が特長となったことが見てとれた。ESGを掲げる「ReMe」や、素材・ファブリックのE8Aは、製品単体から空間全体の価値提案へと議論を押し広げる役回りとなっていたことも注目だ。DTSやHosted Buyer Programは、会期外のコミュニケーションを含め“継続取引の場”として機能設計が進む。来年以降はSWEECC側の展示会場の拡張が示唆されており、ブランド露出と販路拡大の両立設計が、より一層重要となるだろう。

(佐藤敬広)