第一回VIFA ASEAN開催 ASEANから家具企業集結、アジアトレードハブの役割へ

 ベトナム・ホーチミン市で、初のアセアンの家具企業が一堂に会した第一回VIFA ASEANが開催された。主催は従来、ベトナムの家具製品を主にしたVIFAEXPO(ヴィファ・エキスポ)を主催したリン・ミン・カンパニー。会期は2023年8月29日から9月1日の4日間、SECC(サイゴン・エグジビジョン&コンベンションセンター)を会場に行われた。

オープニングセレモニー

 従来のVIFAEXPOと異なるのは、東南アジアからの家具企業に積極的参加呼びかけし、国際的なバイヤーの動員を図って、ベトナム一国からアセアンの催事へと拡大しこと。展示会を通じて、ベトナムがアジア地域の家具産業で、トレードハブの役割を体現することを目的とした。

 家具は室内、ガーデニング、コントラクトと網羅し、張地、木材、金具、ホームファニシングなどあらゆるカテゴリの製品が、SECC内A1・A2ホールに集結。ベトナム国内では見ることのできないデザインの製品も多く展示された。なかでホームファニシングは、地場の製造企業が中心に出展、ベトナムならではの製品で来場者の注目を集めた。

 内容的には的には、竹、ラタン、ホテイアオイ、黄麻などの植物でできた籠、鞄、コンテナ、照明の他、セラミックや竹の外殻をベースに漆と貝殻を組み合わせたラッカー塗装のコンテナや鏡、その他家具を展示した。

ゼネラルディレクター ダン・コク・フン氏、日本パビリオンに期待

 VIFAASEANのコンセプト通り、ベトナムに拠点のない海外企業が多く出展したが、バイヤーを対象とした工場見学招待を行いたい地場メーカーが多く、必然的に同国に製造拠点や流通拠点を有しているメーカーの出展数が多くなった。

 また、多くの企業は海外展開をしているが、そのほとんどがアメリカとヨーロッパを中心に取り引きしており、日本に輸出期待は持ちつつも、欧米への輸出が多く、マーケットに入り込めていない。そうした現状にありつつも、取材を通じて日本のバイヤーとつながりたいとする企業は非常に多くみられた。

VIFA ASEAN 会場の様子

 東南アジアのメーカーは日本の人口の多さや、購買力を理由に取引開拓を希望する意見が多かった一方、欧州に本拠もつ企業は、日本市場が他国に比べて高付加価値商材や、環境配慮製品の受け入れが進んでいることを理由に挙げ、日本市場への志向をを語った。

ダン・コク・フン氏

 展示会のゼネラルディレクター ダン・コク・フン氏は「ベトナムはアジアの中で2番目に、世界全体では5番目に大きな家具輸出国家だ。内情的には外国資本の家具製造企業が多いため、世界のあらゆる輸出先に対応できるデザイン、素材、品質のものが生み出されていく。来場者にはベトナムが家具産業のハブであることを実感してほしい、また今回、アセアン規模での出展が行われたため、出展企業同士でも、新しい技術やデザインの交流が行われることを期待したい」と語る。

  また同氏は、今後日本パビリオンの実現も期待するとした。複数社で構成される日本企業エリアが形成できれば、より国際色の強い展示会が実現する。

次回VIFA EXPO来年2月Sky Expo Centerで開催

 次回開催の展示会は2024年2月26日から29日にかけて、第15回VIFAEXPOを開催する。ただし会場はSky Expo Centerへ変更となる。
 スカイエキスポセンターは、空港から11キロ程度の距離で、SECCよりも近くなる。また、家具製造工場が集まるロンアン、ビンズオン、ドンナイ地方により近いという利点もある。出展料金もSECCより安くなる予定だ。ブースの設営や、搬入費用についても金銭的な補助を行う予定で、SECCに比べて総合的な金銭的負担はかなり低減する見込み。新しい会場にすることで周知不足の危惧もあり、出展企業に向けた金銭的な優遇施策を前面に押し出したい、とダン・コク・フン氏は述べる。空港やホテルからのシャトルバスも運行予定で、利便性も確保する見込み。

(長澤貴之)