アルフレックスジャパン(東京都港区、保科卓社長)は、今年4月にミラノサローネで発表されたMolteni&C(モルテーニ)のアームチェア 「CINNAMON(シナモン)」、シェーズロング 「TUSCANY(タスカニー)」を、他の新製品の発表に先駆けて国内展示を開始した。これに伴い、製品デザインを手掛けたデザイナーの深澤直人氏と、長年モルテーニで製品デザインおよびコーディネーションの担当をしてきたニコラ・ガリッツィア氏をゲストに迎えたプレスプレビューを、モルテーニ東京(東京都港区南青山)で開催した。なお深澤氏は、モルテーニの歴史の中で初の日本人デザイナーとなった。
今回発表したアームチェア「CINNAMON(シナモン)」は、フォルム、機能性、快適さをシームレスに融合させたアイテムだ。包み込むような形状が特徴で、やわらかな紅葉に包まれる感覚からインスピレーションを得て製作された。
外観はシンプルだが、技術的に複雑な形状となっており、U字型のベースが周囲全体に沿っている。中央のシートは、取り外し可能なクッションを配している。特別に縫製されたカバーは、32色のラインナップ。汎用性のあるデザインで、リビングルーム、寝室、書斎など、あらゆる空間での使用を想定して製作された。
脚部:スチール製艶消し真鍮色仕上げ
W.1200 D.910 H.695 SH.405 mm ¥1,010,900 (税込)
シェーズロング 「TUSCANY(タスカニー)」は、イタリアと日本の双方の要素を捉えるために、スタイルのヒントやインスピレーションを融合させながらデザインされた。シェーズロングの形状は、この種類の家具が生まれた1920年代~30年代の伝統に基づいている。
トスカーナ地方の丘のような、起伏に富んだ波打つ形状が特徴だ。身体のラインに合うように形づくられている。滑らかで丸みを帯びた脚には無垢材を使用。
堅牢でスタイリッシュなベースとなるサテン仕上げの真鍮H型フレームで連結されている。張地はモルテーニのレザーコレクションから選択可能。可動式のヘッドレストは、調整可能なストラップによって固定された金属棒でバランスをとっている。
木部/金物部 (2種の組合せ)
アッシュ材ユーカリ色仕上げ/艶消し真鍮色仕上げ
アッシュ材サンライズオーク色仕上げ/艶消しステンレス色仕上げ
W.580 D.1890 H.705/735mm ¥1,736,900~(税込)
プレビューの冒頭では、アルフレックスジャパンの保科社長が挨拶。「モルテーニは、当社が総代理店となって今年で13年目になります。モルテーニは来年で創業90周年と、大変記念すべき年になります。我々が扱ってきた中でも、イタリアではとても大きな変化がありました」と話す。7年前に現在のクリエイティブディレクターであるヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン氏が着任するまでは、キッチンと収納は全く別のブランドで、整合性がとれていなかったという。
しかし、ドゥイセン氏が就任して以降、素材やデザインについて統一感のあるものに変わったといい、商品のラインナップも大幅に変わった。大きな変化の中心にはドゥイセン氏と、社長であるカルロ・モルテーニ氏の存在があったが、その陰に、現場とトップの間を上手くつなぐ役目を、ゲストのガリッツィア氏が担っている。
深澤氏は「特に”シナモン”に関しては”包み込むこと”が重要で、よく形を見るとアームがとても広いのです。座ると両手がきちんと入ります。”包み込む”ということは、身体全部を包み込むような、ということです」と、制作にあたっての秘話を明らかにした。また「タスカニー」については、「この製品はモルテーニが使っている色と、シンプリシティを表現しました。もしモルテーニの“色”がなければ、あのデザインだけでは成立しなかった、そのような製品です」と語る。素材とブランドがもつそれぞれの力が上手く生かされたアイテムだ。
最後に、モルテーニのガリッツィア氏が挨拶。アルフレックスジャパンおよび深澤氏への感謝の意を述べた。