スケーター 大和郡山市に物流倉庫を竣工 万年筆から脱却、キャラクターグッズで拡大

キャラクター製品などの日用品総合雑貨メーカーであるスケーター(奈良県奈良市 鴻池総一郎社長)は、奈良県大和郡山市に大型の物流センターを建造。2024年6月21日に竣工式を行った。

敷地面積は1万5541平米、延床面積は2万3830平米に及ぶ大型の自社倉庫で、総投資額は60億円に及ぶ。新倉庫の外観は、本社と同じくコーポレートカラーのブルーとグリーンの縞模様でしつらえた。

スケーターの鴻池良一会長

施設内には、自動ラックシステムやピッキング補助ロボット16台、トラック予約システムといった最新の設備が導入された。自動ラックシステムは当日、記念発進式が行われ、スケーター代表取締役会長の鴻池良一氏と、フローリアム代表取締役社長の鴻池総一郎氏(スケーター代表取締役社長と兼任)が並んで、運用開始に号令をかけた。なおフローリアムはスケーターの関連会社で、物流倉庫の管理業務を担っている。

自動ラックシステムの発進式

自動ラックシステムは操作盤からワンタッチでパレットを出し入れすることのできるシステムで、単独で2928パレットを運用できるという。1パレットあたりには約1500個の子供用弁当箱を積載することができる。これとは別に、2階には732パレット、3階には1894パレット分の製品を保管することが可能。ピッキング補助ロボットは、事前のプログラムに従って次に製品回収すべき棚に先回りしてくれ、従業員がピッキングした後、自動で所定の位置に運搬してくれるというもの。これにより、従来の半分以下の人員で作業を行うことができるという。

セレモニーでは、鴻池総一郎社長が挨拶を行った。鴻池氏は、「これまで本社隣接の物流倉庫及び田原本配送センターに加え、県内に10か所の倉庫を借りているが、大和郡山物流センターを新たに稼働させ、集約することで外部に支払う賃料の圧縮、そして最新設備を活用して省人化を進め、人手不足に対処する」と建造の目的を発表した。その他、IP(知的財産・取り扱いキャラクター数)の拡大、販路拡大、売れ筋商品の開発などに力点を置いた経営についても表明。同社は当年6月時点で44億円(原価ベース)に及ぶ在庫を持つが、今回の新倉庫が稼働することで、全体の約7割の物流を自社で担えるようになるという。

同社は1950年にスケーター万年筆という社名で設立。その名の通り万年筆メーカーとしての歴史を持つ。ボールペンの登場で経営が難しい局面を迎え、キャラクターグッズの生産に乗り出した。サンリオとの提携等を経て、同社の売上は順調に拡大。今日のキャラクターグッズ需要にこたえる、日用品総合雑貨メーカーに成長した。

キャラクターグッズは国内外を問わず根強いファンが存在し、価格が多少割高であっても売れやすいという強みがある。近年では、書店やコンビニエンスストアといった異業種での取り扱いも進み、今後家具店への展開・拡大も視野に入れる。

なお同社は2024年7月24日から26日の3日間を大阪で、7月30日から8月2日までの4日間、東京の品川で新商品発表会を予定している。売場での新商品取り扱いの検討には良い機会となりそうだ。

(長澤貴之)