LIVING&DESIGN2024秋が、2024年9月4日(水)から6日(金)にかけて東京ビッグサイト西展示棟で開催された。主催はビジネスガイド社(東京都台東区、芳賀信享社長)、総合プロデュースをプロダクトデザイナーの喜多俊之氏が務めた。
同時開催の東京国際ギフト・ショーが東展示棟をメインに開催されたなか、リビング&デザインは同じく同時開催のLIFE×DESIGNとともに西展示棟での展示。喜多俊之氏が手掛けるリノベッタプロジェクトなどの展示が行われたほか、商店建築エリアなども設けられるなど、建築設計事務所向けの提案が全体的に目立った。
会場では、「木材を使った家具のデザインコンペ2024」の受賞作品パネル展示も行われた。今回は300点を超える応募から15点の入選作品および4点の入賞作品がパネル展示され、来場者も足を止めて受賞作品をチェックする姿が見てとれた。なお、グランプリには松宮一樹氏および中田雄亮氏の「Pear Chair」、次点の金賞には田所文士氏、松本維心氏、山口篤氏の「Cross Benchlation」が選ばれた。
審査委員長を務めた喜多氏は「今年は新しいコンセプトを意識しているものが多く存在していた。今ある課題に対する思考と提案、次世代の想いが感じられ、生活環境や家具製作に対して、これまでと大きく変化していることがうかがえる。グローバル市場も考慮した作品も目立った」と評した。
今回の東京インターナショナル・ギフト・ショー2024秋は、LIVING&DESIGN2024、第16回LIFE&DESIGNなどと合わせ、3日間で計22万1478人(海外来場者5721人含む)が来場した。(主催者発表、数値は速報値)。
同時開催展を合わせて2823社、海外からは16の国と地域から898社が出展した。昨年に引き続き、ギフト・ショーは東展示棟全てのホールを使用して開催し、多くの来場者でにぎわった。ギフト・ショー(出展社2004社、うち海外からは833社)単体での来場者は3日間で14万7988人(1日目:5万3929人、2日目:5万1323人、3日目:4万2736人)。
LIFE×DESIGN(出展社461社、海外から60社)およびLIVING&DESIGN(出展社26社、海外から2社)の来場者は3日間で4万2448人(1日目:1万4349人、2日目:1万4344人、3日目:1万3755人)。昨年のギフト・ショーには、家具メーカーの出展および出品も見られたが、今回は雑貨系の展示がメイン。家具は西展示棟のリビング&デザインおよびライフ×デザインに集約された形だ。
リビング&デザインは、喜多俊之氏のリノベッタプロジェクトを中心とした展示が基軸となった。リノベッタプロジェクトへはタムラ設計.、ウッドスタイル、桜製作所、サンコロナ小田、AKITA COLLECTION、STILE LIFEが展示協力。喜多氏デザインによるインテリアアイテムのコーディネートが披露された。
今回のリビング&デザインには、キノシタ(大阪市中央区)も出展。喜多氏がデザインした新ブランドシリーズ「IZUMO(イズモ)」のチェア、テーブルなどのアイテムが初公開された。
「IZUMOチェア」は、木造建築の歴史を思い起こさせる日本の椅子として、日本オリジナルの椅子を追求するなか、大山の歴史ある木造建築の特性を生かした独特の構造美に着想を得た。
「IZUMOテーブル」の天板は、自然な木目を生かし、木材の内部まで色が浸透することで、木の素材感が残る新しい素材から生まれたオリジナルプロダクト。天板にはスギ材、脚・天板小口にはオーク材を使用している。
「IZUMOスツール」は、竹集成材に曲げ加工を施した3本脚と組み合わせて作られた。「IZUMO」シリーズは、BtoCでの販売や来年以降のミラノサローネへの出展も視野に入れながら展開を予定する。
その他、大阪芸術大学がブース出展したほか、「木材を使った家具デザインコンペ」の表彰式および、受賞作品のパネル展示も行われた。
会期中には、デザインコンペ審査員によるセミナーも開催された。初日には永山祐子氏、2日目には喜多俊之氏と椅子研究家の織田憲嗣氏による講演が行われた。喜多氏と織田氏による「デザインの時代」において、喜多氏は「今後デザインも国際化していく中で、日本は西洋と東洋の双方の文化を含んでおり、今後その発信基地になるのではないか。日本の家具業界も国際化していけば面白くなっていくだろう」とし、人と楽しい時を過ごす暮らし方が、ものづくりの中心であると説いた。
織田氏は「デザインの時代という視点において、日本という国はどれ程暮らしを考えているのかが疑問だ。日本のデザイン界はこれまで、経済面で捉えてきたことがあまりにも大きかった。生活文化とデザイン文化を結びつけると、きちんとした道も見え、変わっていくのではないか」とし、国や行政・自治体が、デザイン文化についての関心・理解を高めてほしいと述べた。
(佐藤敬広)