家具産地飛騨高山で開催される年に一度の産地展「飛騨の家具フェスティバル」が、2024年10月19日(土)から23日(水)にかけて、飛騨の家具フェスティバル実行委員会および協同組合飛騨木工連合会(岐阜県高山市、白川勝規代表理事)の主催で開催された。
今回の展示会のテーマは「心の豊かさ~こころ豊かに暮らす~(飛騨デザイン憲章第3条)」とした。今回は世界の人々のこころの豊かさと、精神のやすらぎを与えるモノづくりとして、会場内に飛騨デザインの豊かな感性と確かな技で製造された新作家具の数々が並べられた。
メイン会場の飛騨・世界生活文化センターには、イバタインテリア、柏木工、シラカワ、日進木工、飛彈産業の飛騨高山大手5社に加え、アーツクラフトジャパン、オークヴィレッジ、柿下木材工業所、雉子舎、キタニジャパン、木と暮らしの制作所、木馬舎、ヒダコレ家具、仏壇工芸ほりおなどが出展。このほか、Gifu Select、岐阜県生活技術研究所、飛騨木工房の会、飛騨高山つくり手の会、そして2024匠DNA展といった出展ブースが、会場を彩った。
メイン会場では19日(土)のオープニングに際し、「飛騨の家具と心の豊かさ」をテーマに高山市の取り組みやミクロとマクロの視点で見るこれからの木工産業の展望として、高山市の田中明市長、飛騨木工連の白川勝規代表理事、高山市議会の中村匠郎議員、飛騨の家具フェスティバルの岡田明子企画委員長によるオープニングトークが行われ、一般ユーザーへのPRを図った。
このほか、土日には飛騨の家具フェスティバル実行委員会および飛騨木工連主催の「飛騨の匠と関鍛冶の技を継ぐ~高山陣屋のくれへぎ技術の継承~」、「家具産業におけるSDGs~海外の品質表示システムの経緯とともに~」、ジェトロ岐阜主催の「香港と日本のインテリアデザイン 文化と感性の融合」などが実施されたほか、「飛騨高山の未来創造を探る なぜ飛騨・高山に人が集まるのか」では、柏木工の関道朗会長が基調講演を行ったのち、全国の地域材を活用するプロジェクトの関係者が各地の事例を紹介するなど、飛騨高山と他地域との交流も図りながら、来場者に地域でのものづくりについての提案がなされた。
21日(月)からは、業界関係者むけのイベントが実施された。フェスティバル恒例となっている「飛騨の家具勉強会」は、22日(火)の13時から開催。今回は飛彈産業の森野敦氏が講師を務め、飛騨の家具の魅力や産地の特性、木工連合会の役割などについて説明した。
メイン会場では、「推し家具紹介」の試みも新たに展開された。これは一部のブースで、各社新作や代表作といった「推し家具(商品)」について語るというもの。今回はオークヴィレッジ、柿下木材工業所、木と暮らしの制作所、日進木工、飛騨木工房の会が、商品の魅力を紹介した。
なお、22日(火)には業界関係者むけ懇親会「ふれあいパーティー」がメイン会場で開催された。飛騨木工連の白川勝規代表理事は冒頭挨拶で「飛騨木工連では、“飛騨デザイン憲章として、第1条から第5条まで5つの条文を制定している。今回は第3条の”心の豊かさ“をテーマに、伝統を活かす継続性についてや、SDGsなども考えながら、取り組みを続けていきたいと考えている。飛騨高山ならではの伝統文化を繋いでいけるよう、行政に訴えかけながらまちづくりにも取り組んでいる」と挨拶した。
インバウンド客が多く押し寄せ、市内の観光地等に活気が戻ってきている飛騨高山だが、同地で産み出される家具インテリア製品の数々は、国内の家具インテリア業界にとって必要不可欠な存在だ。飛騨産の国産材活用の取り組みなど、地域振興に貢献する取り組みはますます活発になっていきそうだ。
(佐藤敬広)