――まず、昨年一年間を振り返っての感想と、2026年の展望をお聞かせください。
河口 ここ1年を振り返ると、出だしの状況は悪かったですよね。インテリア業界というのは、コロナ禍の頃に比較的、少し良かった時期があり、その頃と比較するとずっと低迷しているというのが現状だと思います。コストプッシュ型のインフレが住宅産業にも影響しますし、その住宅産業が良くなければ、私どもの家具業界、福岡・大川家具工業会の各社にとっても良くないですね。
とはいえ、底の状態からは抜けていると思います。人件費や原料費なども上昇しているため、商品の価格も上げています。製品単価の引き上げも伴いましたが、小売店さんサイドにも納得していただけています。お取引先様の御理解には本当に感謝しております。当組合としても最高の大川のメンバーに恵まれ、輸送業者さんや資材業者さんなどのインフラにも恵まれています。家具の産地としては最高だと思っています。このような企業が共にやっていくことができるということ自体が、福岡・大川家具工業会としても財産だと思っています。
このように、単価アップをできている状況ではあるのですが、依然として消費の動向は弱いです。政治面では高市新総理が就任され、180度経済が変わるかなという期待はしていますので、当社の社員には「来年は絶対に良くなる」と言っているのです。しかしそのための「種まき」はしておかなければなりません。とにかく、底にある状態からは脱し、良くなりつつあるとは思います。あとは数量の問題。ここがまだ弱いのです。
したがって、付加価値を上げ、単価を上げ、そして数量がまわっていけば、この業界も再び必ず良くなるでしょう。付加価値も昨今、どんどん上がってきていますからね。あとは生産性を上げるだけ。ただし、生産性を上げるためには、どうしても消費が上向かないと良くなりません。
――今、高市新首相の話が出ました。緊縮財政から拡大成長路線、成長路線に向かうと思われるのですが、組合員の各社さんでもそれぞれ思いはあるとは思います。例えば政府から、このような支援があれば、福岡・大川家具工業会全体としてさらに潤い、勢いもつけられる、といったお考えなどはありますか。
河口 今の若い方々に対して思うことですが、所得を増やすことですよ。若年層が可処分所得を増やすことができれば、結婚する人たちも増えるのではないでしょうか。やはり、結婚自体が減少していることが一番の問題で、この問題の改善が大事だなと思います。私が若い頃はちょうど、いわゆるバブルの時期で、所得も比較的余裕がありました。したがって、結婚することに対してそこまでの苦労もしていなかった。しかし昨今の若い方々は、どうしても所得が問題で結婚に二の足を踏んでしまう、希望が持てないという人も絶対いるはずですよね。所得を手厚くすることはその解決策の1つであり、これができれば景気も良くなるはずだ、と私は考えています。
高市新首相には、女性初の首相として非常に期待しています。トップリーダーとして、真っ直ぐ発言されています。男女平等で誰が総理大臣になろうと、国民へ目線をしっかりと向けてくれて、そして国民が良い暮らしを送ることができれば良いなと思いますから。
私の話で恐縮ですが、私は車が大好きなのです。そこで思うのは、皆さんは本当にご自身が乗りたいと思う車に乗られているのだろうか、ということです。本当は排気量の多い車に乗りたいけど、コストを考えて軽自動車で我慢している、という人もいるのではないでしょうか。それぞれが好きな車に乗れるような生活が幸せではないでしょうか。そしてそのためには、やはり可処分所得が問題ですから、繰り返しになりますがここを引き上げてもらいたいと思いますね。住宅ローンも組めて、結婚もできて、自分の好きな車に乗れるという、そのように暮らしを豊かにするサポートをするのが、政府の仕事ではないかなと思いますね。
国民民主党の玉木代表が言われていましたが、若い人を中心に考えた幸せな国作りが求められていると思います。住宅ローンを組むのも簡単ではないという話も聞こえるようになってきました。繰り返しになりますが、可処分所得に不足があることが起因していることは間違いありません。今まで、あまりにも国民に我慢させすぎてきたのではないかなと思いますね。
――続いて、昨年は日本家具産業振興会主催のIFFTが、形を変えてJAPAN FURNITURE MONTHおよびJAPAN FURNITURE SHOWという形で、6~7月と11月上旬に開催されました。組合加盟企業からも何社か参加された企業がありますが、これに関して、福岡・大川家具工業会としての受け止め、2026年に向けての取り組みなどについてお伺いできますか。
河口 日本家具産業振興会さん主催のJAPAN FURNITUREの2イベントについて、組合員全員にプロモーションをいたしましたが、最終的にイベントへの参加は、組合各社の判断におまかせしました。趣旨に賛同されている企業はやはり輸出などに力を入れたい企業さんなのだと私はみています。
これは当組合の良い面なのですが、良い意味で「まとまらない」のが福岡・大川家具工業会なのです。これがまた長所のあらわれなのです。当組合には大なり少なり、様々なメーカーさんが115社加盟していただいていますが、一人親方から200人以上の大きなメーカーさんまで加盟していただいているわけです。最も多いのは5人~30人規模のメーカーさんで、割合にするとこれが約60%。そして30%近くは従業員1人~5人ほどの企業です。このような企業がまた、自由にものを作れる、自分だけのものを作ることができます。そして残り10%が、従業員規模50人以上、200人前後の大きな企業という構成になっています。このように多様性のある組合なのです。
これは昨今の時代に合っていると思っています。多様性があり、そしてそれぞれのメーカーさんで進むべき道が様々な方向に向いています。したがって、それを一つにまとめるのは困難が伴いますし、また、「まとまらなくてよい」と思っています。これが福岡・大川家具工業会の強みでもあるわけですからね。
――多様性がこうあることによって、産地として魅力になる点とはどのような点でしょうか。
河口 多様性があるからこそ、多くのバイヤーの方々に年4回の組合展示会に来ていただいていると理解しています。最近では住宅産業関連、工務店さんなども増えてきています。工務店さんであれば、1人~5人ほどの規模の事業者でも、特注で受注し、オリジナリティあるものづくりができますからね。仮にそのような工務店さんが比較的大きな規模のメーカーさんと商談されても、ロットの問題で小回りがききにくいことが多いのです。しかし小規模のメーカーであれば、工務店さんの細やかな要望にも対応しやすいですからね。
また、資材関連の事業者さんにしても、合板の販売などについて、大規模、中規模、そして小規模メーカーとまんべんなく木材を供給することが可能です。大なり小なり、メーカーは木材を必要としますから、このように多様性のあるメーカーの集まりというのが大川の良い点だと思っています。
そしてそれぞれのメーカーで得意分野があります。キャビネット、デスク、チェアなどに特化したメーカーさんもありますから、そこを見極めるべくバイヤーさんが工場まで見に来られます。それによってタイアップしている企業もありますね。このように多様な組合員が集まっていますから、是非バイヤーの方々には、それぞれの組合員メンバーのことを知っていただきたいと思います。
――規模の違いはあれど、それぞれの組合員の魅力により着目してほしいということですね。
河口 そうですね。例えば、住宅関連のマンションデベロッパーと取引のある小売店さんなどは、そのオリジナルの製品を開発されるといった取り組みがあると聞いています。マンションができると1回1回契約がとれると、超高額商品で1本80万円といった単価で販売していただけます。小売店さんでも様々な企業がありますから、それぞれの企業で多様な売り方をされています。ニトリさん、東京インテリアさん、ナフコさんなど、それぞれ売り方は異なり、これも多様性といえるでしょう。そして、我々福岡・大川家具工業会もまた多様性に富んでいるということで、バイヤーの方々もそれぞれのニーズに合った商品を見つけやすいのではないかと思います。
――工務店がオリジナルの製品を作っていくという流れは、コロナ前からあったのですか。やはりコロナ禍以降、展示会への来場層も徐々に変化してきているのでしょうか。
河口 まず、工務店オリジナルの製品づくりについては、コロナ禍前から取り組んでいた組合員はいたと思います。これがコロナ禍を機に徐々に表に出てきたといったところでしょうか。
年に4回の展示会についても、ここ数年は来場者に関して、様々な業種の方が来てくださるようになったと思います。それまでと比較して、工務店さん、建築関係方々、ネットを専門に家具を売ってらっしゃる企業も増えています。コロナ禍で売り方が多様性に富んできましたから、大川の産地構成、組合員構成に時代が追い付いてきた、と言ってしまうこともできるかもしれませんね。
私は、この業界全体に対して、大川の展示会を開催できる点についても感謝したいと思います。小売店さんは今苦労されていますが、この状況は絶対良くなるはずです。大川の産地は、売り先に合わせて様々な製品を供給することが可能です。来場者の方々にも恵まれて、刺激を受け続ける産地です。全国の小売店さんにも、一回の展示会で1000社以上の企業に来場していただけています。展示会には、大川の組合員ではないゲストメーカーさんにも出展していただいており、出展社の半分近くがゲストメーカーさんです。このゲストメーカーさんがまたパワーを与えてくれて、大川では作れないようなもの、付加価値の高い製品などを展示してくださいます。このような点でも、展示会としてバラエティに富み、相乗効果があると思いますね。
――展示会ですが、最近はメイン会場、サブ会場などの展示会場に人が来るというより、その周辺メーカーショールームで商談をする傾向が、だんだん強くなってきているのではないかと業界の皆さんは言われていますが、このような流れについてはどのようにお考えですか。
河口 少なくとも、来場される方は毎回の展示会で必ず一度は、産業会館の会場にお見えになられるのですよ。したがってその機会でしっかりとお客様をキャッチできていれば、私はチャンスがあると思います。ただ、来場者数を分析していると、産業会館よりも第2、第3のサテライト会場の方が、若干そのような傾向は出てきているかなとも思います。このような影響は無い方が良いのですが、来場されるお客様もそれぞれお求めになりたい商材を探しに来られているわけですから、メイン会場以外にその他周辺のショールームにも行かれます。
ただ、やはり来場者の皆様はメイン会場の産業会館には必ず来られますから、産業会館に出展していただければ、商談のチャンスは広がります。我々としても、産業会館に出展する企業は増やしたいですからね。ゲストメーカーさんも結構入れ替わっていただいていますが、それによって、また新しい風が入ってきます。したがって新鮮味は毎回あると思います。
――確かに、新規出展社も毎年見られます。
河口 展示される商材を見ると、屋外用家具から金具まで、あらゆる業種の出展社がいらっしゃいます。大川の組合員は、全体の約半数が出展しますが、その展示内容は毎回それほど大きな変化はありません。しかしゲストメーカー様の出展が変わることで新しい風が入り、来場者にとって鮮度は上がっているのではないかと思いますね。
そして4月と10月の年に2回、大川木工まつりも開催しています。この場ではユーザーのお客様とダイレクトにふれあい、お買い上げいただく場であり、エンドユーザー様の意見を聞くことで商品のマーケティングをする場としても最適な場です。今年の秋は特に盛況で、木工まつりには4万人近くのお客様が来場していただけました。非常にありがたいですね。
――最後に、2026年の大川家具新春展、そして今後に向けての抱負や展望をお聞かせください。
河口 「豊かな暮らしを応援したい」というのが大川家具新春展です。これからの時代の新たな提案として「Find」というテーマを組合でも掲げています。お互いに新たな発見をし合う、取引を超えた取り組みができる大川家具新春展にしたいですね。
これは私が常に言っていることでもあるのですが、「取引を超えた取り組み」を行うことが、取引関係としても一番長く続くのです。「お互いに理解し合った中で開発をスタート」するのです。来場者の皆さんにも、そのような関係を築ける出展社を見つけていただきたいと願っております。ただの物売りの展示会ではなく、もっと本質をつかんだ場でありたい。それが新春展であり、年に4回の展示会です。来場者と出展社の出会いの出発点として、展示会の運営を大切にしていかないといけないと思っています。
組合の青年部は、現在12名で活動しています。青年部では上海の展示会視察も行っています。このような機会をきっかけに、何かをヒントを掴んでそれぞれの企業にフィードバックできると良いと思っています。昨年は初の女性部員が入るなど、新しい風も吹いています。
また、展示会以外では、1月に東京の「二子玉川ライズ スタジオ & ホール」において、組合と大川市のインテリア課の合同で、ポップアップ事業を展開します。1月30日~2月8日の期間、家具産地大川のPRとして、150坪ほどのスペースに家具を展示します。今のところ組合員約50社が出展予定です。ここでしっかりと、九州の家具産地大川というものの周知を図っていきたいと思います。
――多岐にわたりお話いただき、ありがとうございました。
(聞き手 長澤貴之)






