【オルガテック東京2023ピックアップレポ② エビスファニチャー】

エビスファニチャー(さいたま市岩槻区 薮田和男社長)は、オルガテック東京2023に出展した。同社はこれまで、主にオフィス用デスク等を製造・メーカーに供給してきたが、新たに家庭用家具ブランド「Find If」を立ち上げ、同ブランド初めての家具となる「PUFFBO(以下、パフボ)」を展示した。

パフボ

パフボは主に在宅ワーカーを想定したチェア。コロナ禍を経て在宅ワークが定着するとともに、オフィスチェアやゲーミングチェア、姿勢改善を促す商品などが流行したが、同社は自宅のインテリアと調和する、デザイン性にも優れた椅子の製作を目指した。また、姿勢改善、腰痛予防や体幹トレーニングのニーズにも着目し、商品のエッセンスとして取り入れた。

最大の特長は一般的な椅子やソファのようにウレタンを使わず、クッション材に空気を用いている点。生地に隠れて一見ではわからないが、座面のクッションは浮袋のようなドーナツ形状になっている。これにより、まるで安定したバランスボールに座っているかのようなまったく新しい座り心地を実現した。座面を覆う生地は伸縮性に優れた3Dニットを使っているが、会場には他にもレザーや、ファーの張地などの特注品も3種類展示された。

パフボにはSサイズとLサイズの2種類があり、サイズにより座り心地も異なる。Lサイズはよりゆったりと座れるよう設計されている一方、Sサイズはより前後左右の動きが大きく、姿勢改善やエクササイズの要素が強い。座面のニットは5色から、脚はカメラの三脚を想起させるようなデザインで、4色から選択が可能。また、中の空気は時間が経過してもほとんど抜けることはないが、付属の空気入れで補充、あるいは栓から少し抜くといった調節も可能だ。空気の充満度合によっても座り心地は微妙に変化するため、ユーザーは自分に最も心地よい座り心地を探す楽しみもありそうだ。

同製品はオルガテック開催初日と同時にオンライン販売を開始しているが、一般向けにはニットタイプのみを販売する。特注品は原則設計事務所などのプロユーザー向けとした。このようなプロユーザーから生地の持ち込み提案、試作も受け付けているが、ニットと異なり伸縮性の担保や、形状に合わせた製作の難易度が高まるため案件ごとに都度相談になるという。

同社ブースは決して広くはなかったが、一見して椅子以外のものにも見える斬新なデザインとコンセプトで非常に多くの人を惹きつけた。3日間の開催期間中、ブースにはほぼ常に人だかりができ、パフボを試そうという人であふれた。主な反応としては、「想像していた座り心地と違った」と驚く人が多かったという。女性からは、「かわいい、デザインが良い」という声も多く聞かれたようだ。

FindIfブランドは、今後パフボのラインナップ拡大に注力すると同時に、家具のみに捉われず、常に新しい提案ができるような商品開発を目指していくとした。