【ベトナム取材ルポ】第1回VIFA ASEANに集う注目企業群③ フクイ Arredaでリラックスライフを提唱 ボーダーレス化した生活に、「動く」ソファを

現地法人のフクイ(栃木県 福井俊光社長)が第一回VIFA ASEANに出展した。ブースを大きくとり、布張りソファの新作や、PB生産のテーブルなどを展示。ベトナムに生産拠点を持ち、VIFA EXPOにも出展を重ねてきた。福井社長は「各国の見知ったバイヤーが主な来場客である一方、新規客も一定数いる」という。

同社が生産する全体のの5割は日本の大手販売チェーンのPBだが、残りの半分は自社ブランド・Arreda製品で占める。オーストラリア、ニュージーランド、韓国に主要な顧客が多く、その他、南米はチリなど、世界50ヵ国に輸出、各国の家具問屋や販売店に販売しているという。

もともと中国の青島に工場を持ったが、尖閣諸島問題に端を発した政情リスクを回避して10年前の9月にベトナムに移転した。当時は円高で、1ドル90円だった。EPE企業(ベトナムにおける輸出加工企業。税制優遇措置などを受けられる)として進出ができ、輸出入関税や付加価値税が免除されたことも進出を後押しした。「振り返ってみれば、時期にも恵まれていた」と福井社長は語る。

ブースの手前半分に、独自ブランドであるArredaの新作ソファを展示。真っ白なリネン素材を活かした製品で、汚れを見越して、洗えるカバーリング仕様にした。着脱が容易なのも特長としている。
同社の売り上げの中心はソファ製品。ソファへのこだわりは強く、製品を通じてリラックスできる生活を提唱している。人がリラックスできる時間は、寝ているときか、ソファに座っているときである、という思考が出発点となった。仕事から帰宅すると、まずソファでゆっくりする人が多い。そのため、ソファ自体がもっとリラックスできるものであれば、生活の満足度は高くなる。

また、肌ざわりも大切なエッセンスの1つだという。「どの国の人を見ても、オフの時はリネンシャツを着ていることが多い。それは着心地や肌ざわりが楽だ。そういった観点をソファづくりに取り入れた。」と福井社長。同社ソファの肌触りは、まさにリネン素材そのものといえる。

今回は本展に向けて、素材だけでなく「動く」というコンセプトを取り入れて新製品を開発した。背もたれを倒せるなどの簡易な動きだけでなく、ベッドに変形もできる。近年、人々の暮らしは一様ではなくなり、いわゆる「暮らしのボーダーレス化」が進展している。ライフスタイルの変化を見越してソファの用途、使用方法にも柔軟性を持たせた形だ。

展示ブースの奥には、国内大手販売チェーン向けの製品も並べ、ベトナムまで日本国内の主要な取引先も来場した。その他、多用途型のシェルフを展示。木とスチールを組み合わせたインダストリアルなテイストを持つ、大型のシェルフだ。

デスクが付帯しており、在宅ワークや子供の学習などができるほか、自身の趣味品なども収納できる。釣り具や自転車、ゴルフ、サーフボードといった、ユーザーの趣味に合わせて、シェルフを飾ることができる。そうしたライフスタイルに合わせた家具を開発を志向していきたいと参考展示していた。

(長澤貴之)