【ベトナム取材ルポ】第1回VIFA ASEANに集う注目企業群② EUROFAR社

環境配慮・企業責任・品質を最重視

 EUROFAR(アイアン・ブランド社長)はオランダに本社を構えるガーデンファニチャーの製造企業で、約30年前にベトナムに製造拠点を設けた。以来、拡大を続け、現在は7つの工場を抱えるまでに成長した。

アイアン・ブランド社長

 ブランド社長はその昔、2年間程東京に暮らしたことがあるという。彼の部下は配偶者が日本人だ。日本語で簡易なコミュニケーションもとれる。そういう背景もあり、日本に一層特別な感情があるように思えた。だが、そのような背景以外にも同社がとりわけ日本のマーケットに注目する理由がある。

 同社の最大の強みは、品質の高さと環境配慮、サステナビリティに向けた先進的な取り組み、そして様々な認証を取得しているといった、先進諸国との取引が行いやすい企業風土が完成している点にある。事実、同社は世界41か国に顧客を持つが、最大の取引国はアメリカ、そして次いでヨーロッパ等の先進諸国だ。ところが、日本の取引先はまだ1社にとどまっている。拡大の余地は大きい。「アジアで最も魅力的なマーケットは、日本と韓国です。」と同社マネージャー、ローレンス・ヴァン・ウェル氏は語る。今回の展示会も有力なバイヤーとつながることを期待して出展した。両国が先進国であることも理由にあるが、四季がある点も魅力だという。一年のほとんどが暑いか寒いかという国では、ガーデンファニチャーの売れ行きは悪い。平均所得や物価水準の面でも、同社製品は受け入れられやすいと考えた。

 特に日本では品質に重きがおかれ、また近年は環境配慮製品への関心も高まりを見せる。そのような気質が同社の方針と合致しているのも熱視線の理由だ。「当社は設立当初、ゆるやかな立ち上がりでしたが、だんだんとヨーロッパ、オーストラリア、アメリカ市場で評価が高くなりました。その理由は品質に他なりません。品質の確保、クオリティコントロールこそ最優先課題です。そのため日本のような品質重視のマーケットは大変相性がよいと思います。」とブランド社長は語る。

グリーンバードブランドの製品

 新たに過去最大級の工場をベトナム南部に建設予定だという。4万3千平米の大きさで、FIFAのサッカー場が7つ入るほどの大きさだ。これまで以上にサステナビリティに重点を置いた製造拠点となる。具体的には、ベトナムの海や埋め立て地に捨てられたプラスチックなどの廃棄物や工場で不要となったごみを再利用した、リサイクル製品を中心に製造する。ブランド社長はそう説明し、記者の前に無数の小さなプラスチックが入った小瓶を差し出した。集められたプラスチックは裁断、洗浄後、小粒のペレットに加工される。瓶にはそのペレットが入っていた。これらは鋳型にいれられ、加熱、製品のパーツへと変化するという。今回展示された製品の多くがこのようなプロセスを経てつくられた製品だ。同社はこれをGreen Bird(グリーンバード)というブランド名で展開している。

ペレットのサンプル

 認証制度の取得にも力を入れている。人権や労働条件に配慮した工場で製造されていることを証明する「BSCI認証」、原料から製品に至るサプライチェーンでの環境配慮度合いを検証し、リサイクル品であることの国際的な証明である「RCS認証」、木製品が確かな出どころからつくられていることを証明する「FSC認証」も取得しているという。このような取り組みは、特に先進諸国でのコントラクト市場で肝となるからだ。日本も例外ではない。

 また、家庭用のガーデンファニチャーには、戸建ての庭に一定程度のスペースが必要となる。比較的国土の小さいシンガポールや香港向けに、特別なサイズの製品もつくった。日本への展開も検討しているという。

 同社の運営姿勢や品質への取り組みは、国内市場に受け入れられる可能性は高い。今後オルガテック東京などの展示会へも参加検討の可能性もあるようだ。同社の製品がどのように日本に進出するか、注目していきたい。

(続く 長澤貴之)