デザインが拓く家具産地旭川の未来 旭川デザインウィーク2024

IFDA で旭川家具の未来を拓く デザインをものづくりにどうつなげるか

デザイン都市・旭川の祭典「旭川デザインウィーク」が2024年6月17日から25日まで開催され、家具やクラフト、地元の食など、旭川の魅力について街をあげてアピールした。

「Meet up Furniture Asahikawa 2024」(主催:旭川家具工業協同組合・藤田哲也理事長)があわせて19日から23日まで開かれ、今年は3年ぶりに「IFDA 2024」の審査・表彰が行われた。応募作品655点の中から、19日の表彰式で5点の入賞作品が発表され、シュ・ユコウ氏(中国)がデザインし、カンディハウスがプロトタイプを製作した「Hug Chair」が「GOLD LEAF」の栄誉に輝いた。


2位のシルバーリーフ賞には、北原悠唯氏の「U armchair」(フレスコが試作担当)。


Drawer and Shelf
Dragi

3位のブロンズリーフ賞には、可児美帆氏の「Drawer and Shelf」(コサインが試作担当)とコンラッド・ロヘナー氏の「Dragi」(WOWが試作担当)の2作品。


続くメープルリーフ賞には、山内敏行氏の「isunoki chairs tree」(いさみやが試作担当)が受賞した。


IFDA表彰式での受賞者と審査員

審査委員長の藤本壮介氏は、「デジタルの時代、グローバルな時代だが、家具は「リアルなもの」であることを再認識した」と総評した。審査員のひとり、デザインミュージアムデンマーク館長のアン・ルイス・ソマー氏は「デンマーク家具の黄金時代は、プロデューサー、デザイナー、家具メーカーが協働して成立した。いま、旭川に同じような動きが出てきている」と指摘した。

デザイナーと旭川の家具メーカーの協働で生まれた珠玉の15作品は、2024年9月29日まで旭川デザインセンターに展示される。


家具のサステイナビリティ 目立った北海道産材の積極使用

会場2階では、アルフレックス、ソファー工舎、大雪木工、WOW、匠工芸、昭和木材などがブース出展した。「ミラノ・サローネ」等で顕著な世界の家具トレンドであるサステイナビリティを意識し、北海道産のタモ材等を合板や貼合わせで使った家具や、白樺やケヤキなど、これまで家具にあまり使われなかった原材を使う試みがみられ、コントラクト向けも目立った。期間中は、ものづくりの現場を間近で見てもらおうと、各社が積極的にオープンファクトリー(工場開放)を実施し、併設されたショールームで製品をアピールした。

昭和木材(旭川市)は、国内外から幅広く原木を調達し製材している。「乾燥が難しいが、安定的に供給できるケヤキを製材し、家具材にしたい(高橋範行社長)」。

カンディハウス(旭川市)は、ラウンジチェア「BARCA LUX」をはじめ、過去のIFDA入賞作を製品化したものを展示。「1980 年代まで、旭川家具といえば嫁入り箪笥だった。90年にIFDAがはじまり、今年で12回目。IFDAをてこに自社と旭川家具の未来を切り拓きたい(染谷哲義社長)」。

アルフレックスジャパン(東京都渋谷区、保科卓社長)は、ミラノサローネなど世界の家具トレンドになっているサステイナビリティを意識し、再生(済)可能素材を使ったソファやウレタン素材を展示。

旭川の家具メーカーや大学研究者、デザイナー、建築業などで構成される白樺プロジェクト(旭川市、鳥羽山聡代表理事)は、「タモやナラは再生周期が200~300年だが、白樺は約40年。白樺を使って北海道の森林再生を図りたい(田中定文理事)」と話していた。

カクテルアワーでは旭川ならではの出会いが

(島崎豊)