【IFFT2024インタビュー】日本家具産業振興会 布川徹 氏

JAPAN SHOP等、日経メッセとの親和性にも期待
次年度はテクノロジーや海外メーカーに注目

――今年も来月に国際家具見本市が開催されます。今回の見どころを教えて頂けますか。

布川 東京国際家具見本市(IFFT2024)は、日本経済の中心である東京から国内、そして世界に向かって我が国を代表する家具の発信をする場です。日本の家具の多くは、長い歴史を通じて培われた木工技術を活かして作られており、まさに職人のモノづくりを体現しております。また、各メーカーによりモノづくりに対する思い、デザインでの拘り、特長は異なっております。そのような家具がここに一堂に会し、建築・家具・インテリアに関わる皆様が、それぞれの特長を一目で比較できる点が本展の最大の見どころであります。

――今回も日本経済新聞社との共催ですね。どのようなシナジー効果を期待されているでしょうか。

布川 はい、今回で、日本経済新聞社と共催して2回目を迎えます。同社はこれまで日経メッセを長きにわたって開催し、多くの来場者に対して知見を与えてこられました。同メッセの持つテーマとIFFTとの親和性は強く、来場くださる皆様のご興味、ご関心に沿った統一感のある共同開催となっています。店舗リニューアルや集客向上についての情報満載のJAPAN SHOP、照明などのインテリアの最新情報はライティングフェア、家具部材や建材について知見を得られる建築・建材展、そして我々IFFTの発信内容に来場者の皆様は興味を持って頂けるものと確信しています。日経さんとのコラボレーションにより、単なる総合家具展ではなく、来場者に関係するカテゴリーにおいても、学びや気づき、ビジネスチャンスを得られる場となることが期待できると考えています。

――来場者の皆様にはどのような受け止めを期待したいですか。

布川 今回の企画展示にありますように今後我々日本の家具メーカーはサステナブリテイとウェルビーイングという考え方のもとで商品開発を進めなければならないと思います。今回の企画展示を通じて今後のモノづくりの方向性を感じていただければ嬉しく思います。

また、セミナーステージにおいては、林野庁の石飛氏より「暮らしの中のウッド・チェンジ」やコロナ禍が終息しつつある2024年以降の家具輸出に関連し、日本の貿易の窓口であるジェトロが持つ奥深い内容のご講演をいただけるかと思います。建築・家具・インテリア業界でご活躍されている建築家・デザイナー・インテリアコーディネーターの各講師の皆様からは、“日本人が持つ美意識”や“人生をより豊かにするデザイン”等のご講演を予定しておりますので、楽しんでいただけると思います。

昨年のIFFT2023より

――企画展のお話がありましたが、もう少し具体的に中身をお教え頂けますか。

布川 はい、IFFT2024主催者企画展示テーマとして、「人と森がつくる、これからの暮らし。」があります。これを体現したコーナーにも是非お立ち寄り頂きたいと思っています。これは「人」(技術・手仕事)、「森」(環境・木)、「暮らし」(デザイン・インテリア・家具)をテーマとしたインスタレーション展示です。具体的には、「人」においては、例えば飛騨地域にみられるような伝統的な技法を用いたり、最新の木工機器を組み合わせることで生まれた家具をご覧いただけます。

「森」の部分では、環境に配慮された木材で製作している点を訴求しています。PEFCやFSCなどの世界基準を満たし、森林破壊につながらない木材を使用する、またクリーンウッド法に適合した、合法木材のみを利用する等、環境配慮型であることを来場者の皆様に知って頂きたいと思います。このように、「人」と「森」がつくるこれからの暮らしを提案します。また、休憩スペース等で出展各社の家具を体感できる「プレミアムファニチャー・ラウンジ」も設置します。

――技能五輪全国大会の受賞者によるデモンストレーションもあるとお聞き致しました。

布川 技能五輪全国大会は、中央職業能力開発協会が実施する、幅広い職種を対象とする唯一の全国大会レベルの技能競技大会です。会場では、五輪全国大会の金賞、銀賞受賞者による家具製作のデモンストレーションを行います。金賞受賞者は、初日と二日目、銀賞受賞者は三日目、四日目のそれぞれ二日間ずつ、朝からその日の閉会まで家具製作を実演いただく予定です。演題はまだ検討中ですが、テーブルかキャビネットを予定しています。匠の技をぜひご覧ください。

――最後に、日本家具産業振興会が2025年、そしてその先に目指すビジョンを教えてください。

布川 当展示会の開催目的は、世界中から集まった最高の家具メーカーやデザイナーによる革新的で魅力的な家具を展示することにより、家具産業の発展やデザインの普及を促進することにあります。したがいまして、2025年度は最新トレンドやテクノロジーを取り入れた家具の展示を通じて、来場者にインスピレーションを与え、新たな価値を創造する足掛かりの年にしたいと考えています。

また、来年度はイタリアやドイツなどのEU諸国、そしてアメリカの家具メーカーを呼び、出展企業に加わって頂くよう呼びかけを行っていきたいと思います。特にアメリカでは、オフィス家具と家庭用家具の垣根が取り払われ、相互乗り入れが進んでおります。コロナを経て、今後日本もそのような相互乗り入れが進展するのではないかと考えております。そういったトレンドについても、IFFTで発信していけたら、と考えております。

――来月のIFFT2024の開催を楽しみにしております。本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。

(聞き手 長澤貴之)