カンディハウス(北海道旭川市、染谷哲義社長)の新作「HUG ハグチェアー」が、「ウッドデザイン賞2025」奨励賞(ハートフルデザイン部門)審査委員長賞を受賞した。主催は一般社団法人ウッドデザイン協会(隈研吾会長)。木を活かして心身の健やかさ—すなわちWell-being—の実現に資する点が選考基準となる同部門で、「木を抱く所作を通じ、身体全体で木の温もりを感じられる」独自性と、有機的フォルムが空間にもたらす存在感が高く評価された。受賞作は2025年12月10日から12日まで、東京ビッグサイトで開催される「エコプロ2025」の特設ブースに出展される。

「HUG」は、2024年の国際家具デザインコンペティション旭川(IFDA)でゴールドリーフ賞を受けた中国人デザイナー、朱禹豪(シュ・ユコウ)氏の提案を製品化したもの。デザインの起点に「木製家具と人との親密な関係を築く」思想を置き、あらゆる体格・姿勢をやわらかく受け止める形状を追求。カンディハウスはこの強いコンセプトを北海道産ニレ材で具現化し、オイル仕上げで手触りと経年の表情を引き出した。2025年6月に発売された後は、商業施設・公共空間・ホール・オフィスなどに“一脚で場を変える”アイコンとしての導入を想定。企業や施設のブランディングの文脈でも採用余地が広い。
ウッドデザイン賞2025は応募327点のうち206点が入賞、さらに社会課題の複合的解決や新産業創出に資する上位31点が選出された。住宅・非住宅の垣根をまたぐ“体験起点型”家具への関心が高まるなか、木質インテリアの次の潮流を象徴する受賞と言える。

審査講評は、「従来にない視点から生まれた椅子の提案」である点を強調する。無数の新作が市場に投入される一方で、ユーザー体験の“所作”を拡張する家具は少ない。「抱く」という身体動作をデザイン要素化した本作は、触れる前提で素材に近づけるため、木の温度・硬さ・香りまでが体験の一部になる。視覚中心の空間演出から、触覚・姿勢・安心感といった感性価値へと評価軸が広がる現在、家具の役割を“感情のインターフェース”へ引き上げたことが受賞の決め手となった。





