【新社長インタビュー2024】フランスベッド販売 代表取締役社長 湊一規 氏 「より良い眠りの空間」の提案、長く信頼される顧客対応・店舗づくりに注力

フランスベッド(東京都新宿区)のグループ企業であるフランスベッド販売(東京都調布市)は、常設、特設会場での展示販売会やネット販売などを通して、フランスベッドグループ製品のBtoCでの販売を主に手掛けている。2024年6月に新社長に就任した湊一規氏に、新規オープンした「フランスベッドギャラリー船橋」で、就任にあたっての抱負などを訊いた。

フランスベッドグループの中核を担うフランスベッド販売】

――湊新社長は、フランスベッドグループでのご経歴が長くいらっしゃるのですか。

 もともとは、フランスベッド㈱に入社して、諸事情により退社しているのです。その後、1995年にフランスベッド販売㈱に入社した、という経歴です。一度はグループから離れているのですが、フランスベッド販売での経歴は長く、約30年になりますね。

――今回のフランスベッド販売の社長へというお話は、いつ頃伝えられたのですか。

 2月の中頃のことです。伝えられた当初は、やはり不安の気持ちもありました。これまで当社の社長は、フランスベッド㈱からいらっしゃることが多かったので、まさか自分が社長を任されるとは思ってもみませんでした。業績では増収ということで売上は伸びているので、この勢いを絶やすことなく、更なる成長を目指して努力してまいります。

――フランスベッド販売での売れ筋の価格帯は、どれほどの価格帯のものが主なのでしょうか。

 現在、当社の平均単価は販売価格30万円ぐらいのものですね。もちろん、高額品を購入される方は100万円以上のものもご購入いただいています。リーズナブルな価格帯では、10万円以下の商品もありますので、幅広く展開しています。

――ECでも販売されていますが、こちらも売上は堅調ですか。

 ぐんぐんとはいかないまでも、徐々に増えてきています。ECについては、若い世代の方を中心にご利用いただいていますね。ショールームで商品をご覧になってから、当社のECでご購入される方もいらっしゃるとは思いますが、ほとんどは実物を見ずに、ECサイトを見ただけでご購入されるという方が多いという認識です。

先ほど、当社の平均単価の販売価格が30万円ぐらいとお伝えしましたが、ECでのベッドの平均単価ではおおよそ8万円弱ほどの商品が多いです。ECで一般的に扱っているのはどちらかというと、リーズナブルなタイプのマットレスなどの売上が多いのです。店舗で実物を見なくても買っていただけるという点については、フランスベッドというメーカーブランドの力であると思っています。ネームバリューがありますので、「フランスベッドの製品であれば間違いないだろう」という感覚で注文していただけていると認識しています。

ただやはり、30万円クラスのものは、ECで頻繁に売れるものではありません。やはり実際に寝心地を試したいというお客様がいらっしゃいますし、その場を提供するための店舗展開は必須です。

――ユーザーへの情報発信は、SNSなどを中心に取り組んでいらっしゃるのですか。

 SNSも活用しますが、最近は紙媒体が減ってきていることから、あえてその紙媒体を活用させていただくこともあります。昔に比べるとダイレクトメール(DM)などは少なくなってきていると思うのです。そのような意味でも、紙でのお知らせが来ると開封率も上がってくるのではないかと考えています。SNSと並行しながら活用していく予定です。

様々な製品ラインナップを身近に体感できる店舗づくりへ】

――競合他社をふくめ、電動リクライニングベッドも需要が高まっていますが、「フランスベッドギャラリー船橋」のオープン前プレ展示販売会でも、多くの方が電動リクライニングベッドをご購入されたそうですね。電動リクライニングベッドの需要が高まっていることについては、御社ではどのように捉えていらっしゃいますか。

 やはり、お客様のライフスタイルが変わってきたと思います。電動リクライニングベッドは昔と違って非常にスタイリッシュになってきました。昔の「介護ベッド」というイメージは、もう今はないのです。フランスベッドは元々が一般ベッドからのスタートですので、当初からデザイン性やバリエーションを豊富に取り揃えているところが、他社さんとは異なる強みの一つであると思っています。

昨今は中高年の方でも、昔と比べると「元気な方」が多くいらっしゃいます。昔は「電動ベッド」というと、健康に不安があるような方が使うようなイメージがありました。したがって私どもがお客様に電動ベッドをお勧めしても「私達にはまだ早いよ」というような形でお断りされたケースも多かったのです。

しかし時代は変わり、今はこの電動リクライニングベッドの上で、スマホやタブレット端末を見たり、テレビを見たりといった生活ができるという使い方について、徐々に認知が進んできました。したがって電動リクライニングベッドの使い方は「介護ありき」の電動リクライニングベッドではなくて、「ベッドの上で何かをする」というような形のニーズに変わってきているということですね。

――今後、どのような企業運営をされていくお考えでしょうか。抱負などをお聞かせください。

 当社フランスベッド販売は、フランスベッドグループの小売部門となりますので、やはりお客様としっかりとコミュニケーションをとりながら、末永く付き合っていただけるようなお店作りをしていきたいと考えています。

ベッド(マットレス)というものは耐用年数が長く、約10年使うことができます。しかし、10年後には買い替えの需要が必ずあります。その際にもう一度「フランスベッドから買いたい」と思っていただけること。さらに理想を言えば、「購入したショップや、販売スタッフからまた買いたい」と思っていただけるようにすることです。当社のスタッフもしっかりとそれを念頭に置いて、接客対応をさせていただきます。

また、ベッドのみならず枕や羽毛ふとんも当社では取り揃えています。それらをフルセットでお買い求めいただけるお客様はわずかで、ひとまずベッドのみお買い求めいただくというケースが多いです。そのようなお客様には、定期的に羽毛ふとんのセールなどの案内などをさせていただきながら、「眠り」に対しての提案をどんどんと取り組んでいきたいと思っています。

どうしても当社の場合は、「待ち」のスタイルでの商売となります。しかしお客様が店舗にいらっしゃるのをただ待っているだけでは、今の時代に売り上げは作っていくことができません。したがって、「より良い眠りの空間」を提案できるような形で、会社自体もレベルアップしながら、少しずつ攻めに転じていきたいと考えています。

フランスベッド販売 新店舗「フランスベッドギャラリー船橋」を7月5日にオープン 千葉・船橋で眠りの相談、マットレス体験をより身近に

――7月に、2店舗目の直販ショップとなる「フランスベッドギャラリー船橋」をオープンされました。今後このような直販店舗をどんどんと広げていく方針なのでしょうか。

 直販店については、広げていく考えでいます。しかしながらやはり簡単に出店していくことはできません。まずは船橋の店舗の推移をみて、他の地域でも出店できそうであればもちろんショップ展開をしていきたいと考えています。

なお、全国のフランスベッドショールームは、当社ではなくフランスベッド㈱が運営しています。当社はショールームのような大規模な店舗は持てないので、どちらかといえばショップ風のこじんまりした形での展開となります。新たにオープンした「フランスベッドギャラリー船橋」でも、展示面積は約230㎡と、ショールームと比較すると広さには限りがありますので、当社グループのすべての製品を展示することはできません。したがって、ターゲットを絞って展示製品を選定していくことを考えながら、店舗を作っていくことになると考えています。

――最後に、ユーザーの方にむけてメッセージをお願いします。

 眠りの質を高めたいということで、製品の質を重要視されていらっしゃる方は多くなってきています。したがって「眠り」について、お気軽にいろいろな相談をしていただければ、フランスベッド㈱の資格である「スリープアドバイザー」のスタッフが対応させていただきます。

眠りの質についてお困りの方々に対して、フランスベッドグループではそれぞれのお客様のお困りごとに合わせた的確なアドバイスが可能です。マットレスの硬さも、ハードタイプやソフトタイプなど、様々な種類がありますし、ベッドパッドとの組み合わせにより更に細かく調整が可能です。どのようなものを使えばよいか迷っていらっしゃる際は、ぜひお気軽に相談にお越しください。

(聞き手 佐藤敬広)

https://www.instagram.com/francebed.hanbai