――東京インターナショナル・ギフト・ショー(以下、ギフトショー)には毎回出られていますね。御社にとってギフトショーはどういう位置づけでしょうか。
小原 今回で20回を超え、ギフトショーには10年以上出展を続けています。9月と2月の年2回開催される同展は、全国から雑貨店様・ライフスタイルショップ様が一斉に来られる場であり、私たちにとって新作の発表の絶好の機会と捉えています。
また、我々は物売りというよりむしろ「空間提案」を行う、ライフスタイルブランドの提案企業と考えています。ですので、製品を一個一個お見せするのではなく、私たちがどのような空間テイストを表現できるのか、この場を使ってお見せできるのがとても気に入っています。
――即売もやられていると聞いていますが。
小原 はい、実はこの会場で受注を頂くことには意義があるのです。小売店の方々は皆素晴らしい感性をお持ちです。この場で、私たちの空間テイストを感じ、各製品をご覧頂きます。そして私たちが説明を行い、「いいな」と感じて頂いたら是非試しにお仕入れを頂き、自店舗で再現してほしいと思っています。
しかし、バイヤーの皆様は例外なく大変お忙しいです。そして同展には本当にたくさんの出展社様がいます。ですので、ここで「良い」と感じて頂いても、そのまま日々の業務に戻られると、責務ある職位であるがゆえ忙殺されがちで、私たちの印象も薄れていってしまいがちです。するとせっかくの出会いの効果が薄れてしまいますので、ここで良いと感じたらなるべくお仕入れしてみませんか、と提案するようにしているのです。長年出展してきて、そうすることがお互いにとって良い出会いだったという結果に繋がっていきやすいと感じているからです。
新規・既存の割合は半々 雑貨は空間を補完するもの
――10年出展されているとのことですが、御社ブースにはどのような業種の方がどれくらい来場されますか。また既存客と新規客の割合も教えてください。
小原 これくらい長期で出展をし続けると、(新規と既存の割合は)半々くらいでしょうか。来場者様は、名刺の数だけで言えば1日約200社様と交換します。交換できてない方も入れるともっと多くの方が見に来てくださっています。
内訳は雑貨店様がやはり一番多く、次いで家具店さんが多いです。弊社の営業も日本全国のお客様を訪ねますが、家具が苦戦のこの時代、皆様客数を求めておられると感じます。お客様に来店頂くツールの1つとして、雑貨を求める企業様はとても増えているなと感じています。ですので、今回は雑貨を主軸に据えて出展を決めました。
ただ、雑貨を仕入れて並べればそれで良い、とは私は思いません。雑貨は一つのツールであり、それらを活用してどのように顧客や、新規客に提案するかがポイントだと思います。そこが冒頭の空間提案に繋がってくるのです。
私たちはオリジナルの家具の開発を長年続けてきました。しかし、家具をそろえるだけでは、空間の質の向上は不十分なのです。そこに飾るもの、使うアイテムとうまく融合させなければなりません。我々のラインナップに家具はある程度そろったので、このテイストに合う雑貨を提案し、より質感のある空間に近づけたいと考えています。
コロナの影響で家具の売上は一時期好調でした。しかし今その反動で伸び悩みが起きています。家具を買って頂いたお客様が、さらに雑貨で補完したいという需要の高まりを我々も感じており、家具店様がブースにお越しになる背景もそういった要素があるのかと思います。
――アパレルも展示されているのですね。
小原 これは雑貨についてもいえるのですが、来場者様は仕入れだけでなく、自分個人で使うように買って頂けるケースもあります。新作を含めて展示会特価でご提供しているため、バイヤー様が自身の服を買っていくケースも少なくありません。私たちはアデペシュのテイストを理解してもらいたいという目的が主ですので、ご自身で使われてその空間コンセプトの理解が深まれば、よりよいシナジー効果が生まれるものと思っています。
――数十万の来場客が訪れるギフトショーならではのプラスワン提案とお見受けしました。本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。
(聞き手 長澤貴之)