シラカワ(岐阜県高山市、白川勝規会長)は、今回の飛騨の家具フェスティバル開催にあわせ、同社のショールーム「匠館」をリニューアルした。従来は2階のみだった家具展示スペースについて、3階も改装して家具展示スペースとして使用していく。
リニューアルの背景には、家具の展示スペースを拡張したいという狙いがあったようだ。3階で運営していたレストランは、コロナ禍を機に休業していたが、このスペースを活用すベく、今回の飛騨の家具フェスティバル開催にあたり、リニューアルに踏み切った。
新たに改装した3階フロアは、コントラクトマーケットをターゲットとし、「クリエイティブラウンジ」の名称でリスタート。
ホテルなどをターゲットに試作のベッドや、国産カバ材を使用した「トレスラプト」などを展示した。
昨年発表し注目を集めているアウトドアリビング提案アイテム「リンクス」なども展示。
新たに設けられた3階の屋外空間で実際に展示が行われた。チェアなども開発をすすめ、都市部の屋上庭園などにも適するシリーズとして訴求を図る。今後の展開が楽しみなシリーズの一つだ。
また、オーダーテーブルのエリアや、商品撮影用のエリアも設けた。
撮影用エリアは、飛騨の家具フェスティバルの期間中はシラカワの企業の歴史を紹介しながら、その歴史と共に歩み続けている商品が並べられた。
そして、新たに設けられた目玉のエリアが、「NIPPON COLLECTION」シリーズの展示エリアだ。
これは、日本各地から厳選された「県産材」を天板に使用した、森林環境の保護・活性化に繋がるシリーズ。飛騨産ナラ材や岐阜県産イタヤカエデ材やチェリー材など、47都道府県の原産地証明が付随したテーブルトップと、アメリカ産広葉樹で製作されたテーブルレッグやチェアを組み合わせている。
脚は様々なラインナップを取り揃えており、顧客の好みに合わせた材と脚の組み合わせが可能だ。一部製品は、テーブルレッグやチェアも国産材で提案している。
この「NIPPON COLLECTION」の取り組みは、現在の日本の森林環境整備の現状について問題提起したうえで、地元の木材を活かした家具作りに取り組むというシラカワの姿勢を前面に打ち出したものだ。製材業が疲弊するなか、国内の広葉樹材がチップやパルプ材に使用されているという現状を踏まえて、自然環境の保護および整備に貢献する。
近年、飛騨地域では飛騨高山森林組合が、木材の競り市である「広葉樹まつり」を開催しているが、シラカワの白川勝規会長は「我々のような川下である家具メーカーが、このような製品開発に取り組んでいることをしっかりとPRすることで、今現在疲弊化している製材業の再整備にもつなげていきたい。このような取り組みのサイクルを作りながら行政へ支援を呼び掛けており、岐阜県副知事なども現状を知るために、工場などの現場の視察に来られた」と語る。
森林環境保全を推進しながら製品開発に取り組むシラカワの姿勢に注目が集まる。