【インタビュー2024】ZEROMISSION(ゼロミッション) 代表 天野久輝 氏 アクリルの魅力引き出すプロダクト・家具製作、ミラノサローネへの出展も視野に

静岡市でアクリルを中心にオリジナルの雑貨などの企画・デザイン・製作を行うZEROMISSION(ゼロミッション)。アクリルに魅力に惹かれ、2014年2月にゼロミッションを立ち上げた代表の天野久輝氏は、インテリアライフスタイル展やシズオカ[KAGU]メッセにも出展するなど、精力的に活動を続けている。将来的にミラノサローネへの出展も視野に入れている天野氏に、ものづくりへの想いを訊ねた。

――アクリルを用いた製品提案をされているゼロミッションさんですが、まず今年のインテリアライフスタイル2024ではジュエリーを展示されましたね。

天野 様々なプロダクトを手掛けていますが、インテリアライフスタイル展ではジュエリー製品を展示しました。アクリルでのアクセサリー作りは、もともとずっと手掛けたいと思っていました。以前も安価なアクセサリーは作っていたのですが、今回は高価格帯のものを生み出しました。たまたま、使っていない材料があったので、それで作ってみたのです。今回出品した製品はデザイナーさんに入っていただき、ブランディングをし直しての展開となります。

もともと「A+」というブランドだったのですが一新して、「現象が起こるさま」を意味する「PHENOMENAL(フェノメナル)」という名称にしました。まずは自社のECから販売をスタートしまして、インテリアショップさんやセレクトショップさん、アパレル店さんなどでも扱っていただければと考えています。

――来場者からの反響などはいかがでしたか。

天野 ゼロミッションが手掛けるアイテムは「尖った」ものが多いので、好き嫌いははっきりと分かれるものです。本当に好きな方からは、一瞬で「良いモノだ」と感じていただけます。ある方からは、百貨店でポップアップストアを開く際に、我々の製品を置かせてほしいとのお声もいただきました。


――同時期に行われたシズオカ[KAGU]メッセ2024にも出展されました。

天野 静岡では、入口付近のオブジェと、デザイナーズサテライトとして自社のブースも出展し、花器などを出品しました。花器については、シズオカ家具メッセ用に製作したもので、常に製作しているものではありません。花器については、もともとアクリル素材がもつ色をそのまま使っているものがあれば、石のようなカラーのものも製作しました。さらに多様なカラーでも製作することができます。

――大きなオブジェなども製作されていますね。

天野 全国の店舗や美術館の什器などの製作も手掛けていました。口コミで知ってくださった方や、展示会で知り合った方にお話しをいただくことが多いですね。

今回シズオカ家具メッセの会場中央に展示したものは、家具デザイナーの牧野仁志さんにデザインしていただいたもので、アクリルに木目を転写していることが大きな特徴で、しっかりと凹凸をつけています。片面に凹凸を、もう片方は平面です。独自で開発した技法を使って製作したので、なかなかインパクトのあるプロダクトができたと思っています。今後はこの技術を用いた家具も開発していく予定で、再来年のミラノサローネ出展も視野に現在活動しています。

――単独でのミラノサローネ出展ということですか。

天野 そうですね。やはり出展するなら単独で出ることが望ましいですからね。まずは来年のインテリアライフスタイル展に出展し、ここでは家具製品をもう2アイテムほど増やして出品していきたいと考えています。

今回のシズオカ[KAGU]メッセで展示したオブジェも、2月の東京インターナショナルギフトショーや、IFFTにも出品したのですが、国内の見本市にはおさまらないような、存在感のあるアイテムです。約250万円の価格ですので、インテリアショップさんなどで扱っていただけるような価格帯ではありません。イタリアを熟知している牧野さんにデザインしていただいており、来年はミラノサローネを視察、そして再来年に出展できるようにという計画を立てています。

他社との合同で出品することも考えたのですが、それだと様々な製品があるなかで埋もれてしまう可能性もあります。やはり、単独である程度のブースを構えて、ゼロミッションの世界観を伝えていきたいという思いでいます。

――アクリルでプロダクトを作っていこうと思われたきっかけは、どのようなエピソードがあるのでしょうか。

天野 もともと私は家具屋になりたくて、フランフランさんでアルバイトをしていたこともありました。販売を手掛けていて、やはり売る側の人間というものは、「ものの造り」を知らないといけないと思ったのです。

アルバイトを辞めてから、家具屋さんに就職しようかと考えていたのですが、たまたまアクリルで家具や雑貨を製造している企業が静岡にあることを知り、そこに就職しました。そこでアクリルの魅力にとりつかれ、以来ずっとアクリルのプロダクトづくりに携わってきています。もう20年ほどですね。

――最後に、天野さんからみられたアクリルの魅力とは、一体どのようなものなのでしょうか。

天野 やはり、「透明度が高い」ということと、「隠しが効かない」ということに尽きると思っています。たとえば接着において、木工であれば接着面は見えないので、接着剤が綺麗に入っていなくても、一応形にはなります。

しかしアクリルは接着一つとっても、例えば気泡が入るようなことがあると、それだけで製品のクオリティの良し悪しが決まってしまうので、究極に難しい材質ではないかと思っています。したがって、それを綺麗に仕上げられた時には「なんて素敵なものなのだろう」と自身でも思います。磨きもどれだけ綺麗にできるか、それを極力手作業で行うことで、職人の腕も試されます。今後もミラノサローネ出展を視野に入れながら、プロダクトの改良を重ねていく予定です。

(聞き手 佐藤敬広)

https://www.instagram.com/zeromission_